家の中でいつも一緒 手元供養という方法

      2016/06/05

家の中で眠っている遺骨はありませんか。「早くお墓に入れてあげなきゃ」と周囲から言われ、焦ってしまうこともあるでしょう。でも、遺骨は自宅でずっと保管しても罪には問われません。手元供養という立派な供養の方法です。さまざまな手元供養について解説します。

遺骨の自宅保管は違法ではない

遺骨は四九日までに納骨するという地域が大半です。お墓が整っていない場合は、遅くとも一周忌までには納骨をすべきでは、という感覚が一般的ですね。そこから「自宅に遺骨を置いておくのはよくないこと」という印象を持ってしまいがちですが、遺骨はずっと自宅に置いておいても、違法ではありません。

違法となるのは、自宅の庭などの土中に遺骨を埋めた場合です。墓地として許可が下りていない場所に埋葬したとみなされます。「敷地内に墓がある人もいるよね?あれは大丈夫なの?」と思う人もいるでしょう。旧家などの敷地内にみられるお墓は屋敷墓といい、埋葬に関する法律ができる前からあった墓なので、例外的に存在を認められているのです。

遺骨を放置しているという印象を払しょくさせる手元供養

AdobeStock_29502227s
違法ではないとはいえ、きらきらしい骨箱や白い骨壺のまま仏壇などにずっと置いておくと、「お墓に入れずに放置している」といわれかねません。家族も周囲が気になってしまうでしょう。そんなときは、オリジナルの骨壺や、遺骨を入れられるオブジェを求めましょう。一気に空間が明るくなります。

自宅で遺骨を保管することを手元供養と呼びます。自宅保管用のステキな骨壺や、可愛らしいお地蔵さんの姿をした遺骨収容用のオブジェ、遺灰スロットのあるペンダント、遺灰を加工したダイヤモンドなど、手元供養を想定したものが、最近になって次々と開発されるようになりました。

設立して10数年となるNPO手元供養協会や、遺灰ジュエリーのプライベートブランドを持つメモリアルアートの大野屋などが、手元供養ブームの火付け役とされています。

分骨して少しだけ手元に置くのもおすすめ

ひとかかえにもなる骨壺の存在感は見事なものです。広い空間に置ければあまり圧迫感を感じないかもしれませんが、現代の家事情ではそうもいかないでしょう。

手元供養品の多くは、骨壺よりもかなり小さめに作られています。あらかじめ分骨して、遺骨や遺灰を少しだけ納めることを想定しているからです。手のひらサイズのオブジェや、小物入れと見紛うようなガラスの容器に遺骨を入れたら、もはや人はそれが遺骨であるとは気づかないかもしれません。

墓参りが難しい人、仏壇がない人にもおすすめ

,

分骨しての手元供養は、「納骨したけれど、配偶者の遺骨はやはり手元に置きたい」「お墓が遠方でめったに行けない」「仏壇を買う余裕も、置く余裕もない」という人にもおすすめです。お墓に納骨する遺骨から、少しだけ遺灰や遺骨を取り分けておき、手元供養品に込めます。

手元供養品の周りに配置して祈りの空間を作り上げる小物も、通販サイトや仏具店などで見かけるようになりました。ミニ骨壺や遺灰オブジェを中心に据え、小さなおりんや花立てを置けば、立派な供養空間のできあがりです。お墓の代わりであり、仏壇の代わりでもある不思議な空間が出現します。

手元供養品を中心に祈りの空間に仕立て上げるデザインは、インブルームス社の「いのりオーケストラ」が優れています。ミニ仏壇「いのりのおうち」でグッドデザイン賞も受賞している、業界の立役者です。

分骨には親族の理解が必須

すでに埋葬されてある骨壺から遺骨を取り出すには、親族と寺院などお墓の管理者の許可が必要になります。「骨が分かれるなんて、あの世で身体がバラバラになってしまうのでは」と反対する親族があらわれる可能性もありますので、きちんと相談し、理解を求めましょう

また、ダイヤモンドを作るなど加工が必要なときにも、親族から事前に了解を得ておきましょう。「あの人はおおらかだから、反対はされないだろう」と思い込むのは危険です。勝手に遺骨を加工したことが後で分かったら、誰でもビックリしてしまいます。

残りの遺骨をどうすべきか

2251037

お墓を買わないと決めて手元供養を選んだ場合、オブジェなどに込めた遺骨の残りをどうしようか、悩んでしまいますね。散骨か、供養塔などへの合祀が考えられます。

散骨するなら、近くに海洋散骨を行ってくれる業者がいないか検索してみましょう。散骨は船のチャーター料金が高いため、ひと家族が独占する個人散骨は20万からの費用がかかってしまいますが、いくつかの家族が乗り合わせる合同散骨なら5万~10万円程度、業者に遺骨を送る委託散骨なら3万円程度から可能です。

合祀を希望するなら、供養塔のある寺院に掛け合うか、合同墓のある霊園に問い合わせてみましょう。散骨と同程度の費用でかないます。

まとめ

新しい供養の形とされる手元供養についてご紹介しました。愛する人の遺骨と離れたくないという人はもちろん、お墓や仏壇を買えない、もしくは買いたくない、お墓が遠いといった事情の人にはピッタリです。いつもそばに故人がいる安心感を手に入れましょう。

The following two tabs change content below.
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

 - 墓を作らない弔い方