「土葬は違法」はウソ!お墓の法律「墓埋法」(ぼまいほう)を知ろう

      2016/08/11

散骨や、人工衛星に遺骨を搭載する「宇宙葬」まである、などという話を聞くと、「いったい、どこからどこまでが合法なの??」と思う人も多いでしょう。また、土葬はすでに違法だと考えている人もいるかもしれません。日本のお墓にまつわる法律である、墓埋法(ぼまいほう)について解説します。

墓埋法(ぼまいほう)でみるお墓のウソ・ホント

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「墓地、墓埋等に関する法律」(以後「墓埋法」)は、昭和23年に施行された、日本で唯一のお墓に関する法律です。よく読むと、何が禁止され、何が許されているかが明確に理解できます。土葬や散骨、宇宙葬は許されるのか?という点に注目しながら、内容をおさえていきましょう。

「土葬は法律で禁止されている」はウソ!

墓埋法ができた昭和23年といえば、まだまだ戦後の混乱期。火葬が半数を超えていたとはいえ、土葬の割合もかなり高かった時代です。ですから、土葬である「埋葬」も火葬後の焼骨を納骨する「焼骨の埋蔵」も、どちらも想定した書かれ方をしています。この記述は、平成23年の改定に至るまで、変化していません。

つまり、日本の法律では、土葬がいまだ認められています。「いや、ウチのほうは土葬禁止のはずだ」という人もいるでしょう。そう、土葬が条例で禁止されている自治体もあるのです。さらに、多くの人が「土葬はできない」と認識するとき、それは「墓地の管理者が土葬を許していない」という事情を含みます。

法律ではオープンながら、市区町村の条例によって、もしくは墓地の管理規則によって土葬が禁止されるため、日本全国で土葬ができるところは数えるほどしか残っていません。結果、火葬率は2005年には99.8%を超えています。

「散骨は違法ではない」はホント。でも「合法である」とは言い切れない

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墓埋法の第二章第四条には「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とあります。この文章をもとに、散骨は長らく違法であると理解されていました。しかし、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」が公開散骨を行ったことにより、解釈の流れは変わったのです。

「すすめる会」の主張は、おおまかにいうと「撒く行為は埋蔵ではないから、墓埋法の範疇を超えている」ということです。当時の厚労省も、墓埋法が散骨を想定していないことは認めました。そして、「葬送を目的とし、節度を持って行う限り、死体遺棄にはあたらない」という意味の見解を述べたとされています。

つまり、散骨は違法のレッテルをはがすことには成功しましたが、法律の垣根の外に追いやられたままなので、合法であると胸を張って言える段階にありません。「すすめる会」が初めての公開散骨を行って20数年が経ち、会の海洋自然葬数は1900回を超えています。それほど散骨を望んでいる人がいるということです。

法律は人のニーズがあってこそ作られるもの。散骨という葬法が法の議論の場に打ち出されるのも、遠い未来の話ではないでしょう。げんに、条例で散骨の可否を決定する自治体も出てきています。

散骨については、散骨は違法?合法?「墓は心の中に」が市民権を得るまでに詳しく紹介しています。

宇宙葬も違法ではないが、合法ともいえない

散骨と同じような理由から、遺骨を人工衛星などで宇宙に送る宇宙葬や、月面に到着させる月面葬も、違法とはいえません。ただ、散骨と違い、宇宙葬や月面葬はせいぜい1センチ角ほどのカプセルに込められる量の遺灰を葬るだけなので、大部分の遺骨については他の弔い方を考えなければなりません。

宇宙葬については、宇宙葬からフリーズドライまで 自由すぎる弔いの世界に詳しく紹介しています。

「亡くなったらすぐ火葬」はダメ!

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墓埋法第三条には、「死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない」とあります。葬儀を行わないといったときにも、病院から火葬場に直行し、すぐ火葬してもらうわけにはいかないのです。

必ず臨終から24時間はどこかに安置をしなければなりません。安置室を設けている火葬場であれば病院から直行できる可能性は高いですが、そうではない場合、自宅へ帰るか、葬儀社などの持つ安置室へ泊まることになります。

葬儀をしない「直葬」における安置の難しさについては、直葬(ちょくそう)の流れ~簡素に親しい人だけで火葬を見送るでも解説しています。

「自宅安置は違法じゃない」はホント!

墓埋法に書かれているのは、「墓地以外の区域に遺骨や遺体を埋めないようにしよう」ということですから、自宅に保管しているのであれば、違法になりません。ただ、庭に遺骨を埋めるなどしてしまうと、「埋蔵」とみなされ、違法になってしまいます。

「庭にお墓がある家もあるではないか」と、お気づきの方もいることでしょう。故人宅の敷地内にある墓を屋敷墓といい、墓埋法が作られる以前からすでにあった屋敷墓は存在を許されています。ただ、その敷地内であっても、新規の建築は許されていません。

よって自宅で遺骨を弔いたい場合、決して遺骨を埋蔵せず家の中に安置し、庭に何かモニュメントを建てたい場合は記念碑的に石塔などをつくることになるでしょう。石塔の下に遺骨を埋めてはいけません。

基本的に遺骨を自宅安置で弔う方法については、家の中でいつも一緒 手元供養という方法でも詳しく解説しています。

墓地は個人では作れない

「家の庭に墓地をつくれるよう、申請したらできるのでは」と考える人がいるかもしれません。しかし、個人は墓地の経営者になることができないのです。

墓地造成の許可は、長らく都道府県が発行していましたが、平成23年の墓埋法改正により、市区町村に権限移譲がされることになりました。だれがどのようにすれば墓地を造成できるかは、別記事で追ってお知らせします。

人の死にまつわる法律、その他

お墓については墓埋法だけですが、人が亡くなれば戸籍法にのっとって死亡届を7日以内に提出する必要があります。そして火葬埋葬許可証を得なければ、火葬も埋葬もできません。また、遺体や遺骨を遺棄したり損壊したりすれば刑法の対象となり、裁きを受けることになるでしょう。

(以上、火葬率の数字などについては『日本葬制史』(勝田至編、吉川弘文館)を参照)

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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