墓じまいの方法と注意点4つ

      2016/08/04

親がすでに亡く、実家に誰もいないという状況が続いていると、家の片付けもさることながら、お墓をどうしよう……と考えざるを得なくなります。今回は、お墓の片づけともいえる「墓じまい」について、その方法と注意点をお伝えします。

「墓じまい」は新しい言葉

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お墓を更地にして、寺院など管理者へ返還することを、最近では「墓じまい」と呼ぶようになりました。墓じまいという言葉が使われたのは、2010年8月8日付の朝日新聞が最初です。「ルポにっぽん 墓じまい 私の務め」という記事で、実家に一人残ったシニア男性が受け継いだ墓を更地にし、散骨するまでを取材しています。

その記事では先祖の遺骨の散骨葬まで行っているため、本格的に「墓をなくす」墓じまいであるといえます。しかし、その後、現在にわたって墓じまいという言葉が使用されるシーンをみると、もとのお墓を更地にすることだけを指して墓じまいとしていることが多いようです。

つまり、その後、先祖の遺骨を他の墓地に移すとしても、ひとまずは墓じまいという言葉を使っているのです。新しい言葉なので、どちらが正しいということはありません。ただ、遺骨を新しい墓地へ移すことについては、昔からの呼び名があります。「改葬」といい、役所へ出向いて手続きをするときにも、この「改葬」という言葉が使われます。

本格的にお墓をなくす「墓じまい」は「改葬」の一つのかたち

それでは、先祖の遺骨を散骨するなどして、過去のお墓をすっかりなくしてしまう本格的な墓じまいには、どのような手続きが必要なのでしょうか。実は、このような墓じまいも「改葬」の一種なのです。遺骨の行き先が、新しいお墓なのか、海や山なのかという違いに過ぎません。よってこの記事では、広く改葬手続きの方法について紹介することになります。

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改葬は書類上の申請手続き

お墓を更地にする、お墓を移すというと大がかりな力仕事をイメージしますが、書類上は至ってシンプルな手続きです。改葬の流れを説明しましょう。

改葬手続きの流れ

改葬を行うには、まずは現在の墓地の管理者から埋葬証明書を発行してもらう必要があります。次に、新しい墓地の管理者から受入証明書を発行してもらいます。双方が出揃ったら、市区町村に改葬許可申請を行い、改葬許可証を発行してもらいます。

埋葬証明書や受入証明書は、任意の書式で構わないとされていますが、市区町村にフォーマットが用意されている場合もあるため、事前に確認しましょう。

改葬許可証が発行されたら、現在の墓地から遺骨を取り出し、新しい墓地の管理者へ改葬許可証を提出して納骨してもらいます。

 

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本格的な墓じまいの際は受け入れ先を「自宅保管」などとする

新しい墓地へ遺骨を移動しない場合は、当然のことながら受入証明書が発行されません。依頼する散骨業者へ相談して、何らかの書式を作ってもらえないか打診するのも手ですが、簡単なのは「自宅保管」とすることです。自宅での保管は何ら法律に触れることではありません。

新墓地を決めかねる場合は納骨堂保管もあり

新しい墓地を決めかねているが、実家に残っている人の体力があるうちにお墓を更地にしてしまいたいというケースもあることと思われます。その場合は、現在お墓がある寺院に相談し、いったんお寺の納骨堂などに納めてもらうのはいかがでしょう。自宅での遺骨保管に不安がある人に、とくにおすすめです。この場合は改葬手続きが必要ない可能性もあります。

墓じまい・改葬の注意点

墓じまい・改葬の際の注意点を、流れに沿って解説します。注意すべきは現在のお寺との関係性やお金について、そして親族の気持ちです。

注意点1 親族の総意をとってトラブル回避を

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改葬については、親族の総意をとることが一番大事です。故人の兄弟が存命であれば、一番先に相談します。改葬は、実家の近所に暮らす親族にとっては、気軽にお墓参りができなくなるということ。それぞれの立場に立って話をしましょう。

注意点2 寺院への報告は相談の形をとる

現在お墓のある寺院にとっては、長年面倒をみてきた檀家を1つ失うことに他なりません。新しい墓地を確保してからの報告ではなく、できれば相談の形をとりましょう。住職ときちんと話せば、もしかしたら頭に思い描いていることとは別の選択肢がひらめくかも。

注意点3 見積もりをとり、合計金額のあたりをつけておく

新しい墓地を作る人はとくに、合計でいくらかかるのかを把握してからとりかかりましょう。墓地を更地にするには、石材店に依頼します。1㎡で10万円程度までが相場です。新墓地の石材店が、格安で現在の墓地を更地にすると申し出てくれることもありますが、指定石材店以外が施工に入るのを嫌がる寺院もあります。現在の墓地の管理者と相談しましょう。

注意点4 「故人の没年月日」は臨機応変に

改葬許可証には、改葬する遺骨についての情報を記載する欄があります。多くは故人の没年月日ですが、代々続いたような家では故人名すら突き止めることが難しい遺骨があるでしょう。素直に役所へ申し出、どのようにすべきかアドバイスをもらいましょう。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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