いちばん豊かな弔いの形を考える~粉骨時代の到来~

      2016/07/21

一般的なお墓を買うと、100万円単位の現金が吹き飛んでしまいます。一方で、散骨や手元供養といったお墓以外の選択肢も増えてきました。どんな方法にするか悩む人も、本当は散骨をしたいけれど家族が反対しているという人も、誰もが納得できる方法が「粉骨」で叶います。近い将来、粉骨時代が来るといってもいいでしょう。

豊かな弔いを叶える「粉骨」って?

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粉骨とは、読んで字の通り、遺骨を砕くことです。散骨や手元供養を選ぶとき、まずは遺骨をサラサラの粉末状にすることが求められます。業者が専用の機械で粉骨することがほとんどです。粉骨を行うことによって、骨の行き先にさまざまな可能性が広がるのです。

粉骨すると、いろいろな弔い方ができる

遺骨が形あるままであれば、大きな骨壺に納めるしかすべがありません。しかし粉末状にすると、水分量が減るため7割程度の量に落ち着きます。より小さな容器に納めることができるほか、さまざまな供養の形が実現できることになります。

粉骨を義務づける樹木葬霊園に応募できる

「樹木葬って何?自然に還れる注目の形」でも紹介しましたが、今、樹木葬が注目を浴びています。最終的には粉末状にして納骨しなければならないという規則のあるところもありますから、あらかじめ粉骨しておけばスムーズに埋葬ができることになります。

散骨ができる

散骨のマナーとして、遺骨は1センチ以下の粉末状にすることといわれています。遺骨をそのまま海に還してしまうと、見た目があまり良くないですし、最悪の場合、事件などと混同されてしまうからです。地上での散骨も同じことがいえます。

手元供養品の中に込められる

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ロケットペンダントの形をした手元供養品の中には、粉末状の遺灰しか入りません。また、少し大きめのオブジェに遺骨を込めるようなものであっても、粉末状にした方が入れやすいものです。

加工してダイヤモンドにできる

遺骨の炭素を利用して合成ダイヤモンドを作るサービスがあります。これを利用する場合も、遺骨を粉末状にする必要があります。

遺骨を使ったオブジェを作成できる

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お地蔵さんや、メッセージが込められた石のようなものなど、遺骨を使ってオブジェを作るサービスがあります。これらを利用する場合も、粉骨が必要です。

粉骨すると、いろいろな弔いを組み合わせられる

粉骨すると、分骨がしやすくなります。分骨とは、複数の墓に遺骨を分けて納める供養法です。現代では、お墓だけに分納するとは限りません。さまざまな供養法を組み合わせることができるのは、粉骨してあるからこそといえるでしょう。家族の意見が違うときは、両方の願いを叶えてあげられます。

墓への納骨+散骨で遺志を尊重できる

故人が「海に還りたい」と遺言していたとしても、親族がそれを許さない場合は多いでしょう。遺された遺族も寂しい気持ちが募り、なかなか散骨に踏み切れないかもしれません。そんなときは、主な遺骨を先祖代々の墓などへ納骨し、一部分だけ粉骨して散骨すれば解決します。

実家の墓への納骨+夫婦墓への納骨で墓参り問題を解消

今のシニアは核家族の第一世代。実家と自分が築いた世帯が遠く離れている場合、実家の墓に入るべきか、新たに墓を作るべきか悩んでしまう人が多いものです。粉骨し、実家の墓に少しだけ納めたら、あとは新しく購入した夫婦墓などに入れましょう。どちらにお墓参りをしてもよいことになり便利です。

散骨+手元供養で手を合わせる対象を手に入れる

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故人が散骨を遺言していて、遺された側もそれを了承していた場合、全てを自然に還してしまうと、お盆やお彼岸に「どこに手を合わせたらいいのか」と悩むことになりがちです。必要ないと思っても、少しだけ手元供養品として残しておくことをおすすめします。1年、2年と過ごしてみて、必要なければ残したものも散骨すればよいだけです。

仏壇での手元供養+ペンダントにしていつでも一緒

亡くした配偶者を深く愛している人のなかには、「いつでも一緒じゃないと落ち着かない」と不安を抱える人もいます。仏壇など祈りの空間で遺骨を供養するほか、ペンダントなどに加工しておくと、外出先でも一緒にいることができるでしょう。

墓への納骨+散骨+手元供養で贅沢な弔いを

墓にも納めたい、散骨もしたい、手元にも置きたいというわがままも、粉骨されていればすべて叶えることができます。さらに実家の代々墓へ納骨する、信仰している宗派の本山へ納めるといったことも可能です。粉骨してあれば、思い立ったときにいつでも分骨できるのが魅力ですね。

まとめ

墓に代わる供養の形が増えてくるたび、粉骨の必要性が高まります。粉骨は、これからじわじわと普及していくこととなるでしょう。粉骨時代の到来は、すぐそこです。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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