樹木葬って何?自然に還れる注目の形

      2016/08/01

樹木葬は、墓石の代わりに樹木を供養のモチーフとするお墓の形です。エコなイメージがあることや、基本的に後継者が不要なことから、希望者がじわじわと増えています。これからお墓のスタンダードとなりうる樹木葬について、詳しく解説します。

樹木葬の起源は1990年代にさかのぼる

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最近、テレビや雑誌など様々なメディアで取り上げられることから、樹木葬は新しいお墓のスタイルであると思っている人は多いのではないでしょうか。しかし、日本に樹木葬が生まれたのは1990年代後半のことです。

岩手で生まれた里山型の樹木葬墓地

日本で初めて樹木葬を立ち上げたのは、岩手県一関市にある知勝院というお寺です。自然の里山を活かした里山型の樹木葬墓地で、見た目はお墓ではなく、自然あふれる山です。

樹木葬という考えの、そもそもの発端は自然再生にあります。どんなに豊かな山林でも、いったん墓地を造成するとなれば伐採され、コンクリートで固められてしまいます。それを防ぎ、かつ山林としての機能を維持させるための樹木葬墓地が「里山型」です。

よって知勝院の樹木葬墓地は、埋葬箇所に花木をシンボルとして植えるほかは、人工物を建てることができません。ですからそこは、いわば墓地であることによって、かえって山林が守られているといっていいでしょう。

町田で生まれた公園型の樹木葬墓地

1990年代から新しいお墓のあり方を研究してきた「21世紀の結縁と墓を考える会」が、2000年に「エンディングセンター」を発足させ、2005年には町田市のいずみ浄苑内に「桜葬墓地」という公園型の樹木葬墓地を企画完成させました。

宗教者でも石材店でもなく、生活者の視点から実現させた墓として話題になったので、ご存じの向きも多いでしょう。継承者は不要ながら、継承することもでき、さらに宗教フリーという自由度の高さから人気となりました。

桜葬墓地は季節折々の花を楽しめ、ネームプレートを土に埋め込むことができ、休憩のためのベンチなどが配置された公園型です。遺骨は骨壺から取り出して埋めるので、自然に還せます。

ここ数年で樹木葬が人気になっている理由

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2012年に東京都小平市で日本初の公営樹木葬墓地が完成したところ、希望者が殺到して10数倍もの倍率になりました。樹木葬の人気を探ると、3つの理由が見えてきました。

イメージが美しい

墓石の代わりに木を植えることで、エコへの貢献がはかれます。また、カロートに骨壺を納めるのではなく、晒に遺骨を入れて土中へ埋めるところが多いため、自然に還せます。生まれたところに還ってゆくというイメージを、強く持つ事ができるのです。

また、「お墓は暗くじめじめしていて怖い」というイメージも、樹木葬墓地の前では吹き飛びます。里山型なら、そもそも墓地とは程遠い見た目ですし、公園型は花木がにぎわい、散歩したいとすら思わせます。

墓石を建てるよりリーズナブル

石と木ではどちらが高いか、考えるまでもありませんね。墓石を購入しなくて済むため、樹木葬墓地は従来の墓よりもかなり費用が抑えられます。従来のお墓をもとめるには、150万円程度は覚悟しなければなりませんが、樹木葬墓地は50万円ほどのものもあります。

基本的に後継者は不要

遺骨が土に還る樹木葬墓地には、お墓をずっと継承していくという慣習がなじみません。お墓を建てたいけれど後継者がいないと悩む人には、もってこいなのです。寺院の中にある、檀家のための樹木葬墓地には後継者が必要なケースもありますが、多くはありません。

需要に供給が追い付いていない

現代人のお墓にまつわる悩みを解決してくれる樹木葬墓地ですから、人気になるのも当然といえるでしょう。しかし、今のところは需要に供給が追い付いていません。公営墓地で樹木葬を取り入れているのは、東京では小平霊園だけですし、広く関東を見ても、横浜市営墓地があるだけです。

そもそも墓地の造成にはお金がかかります。従来のお墓よりも割安な樹木葬墓地を作って、果たして採算が取れるのだろうかと二の足を踏む管理者がまだまだ多いのです。しかし、樹木葬と呼ばれる形は確実に増えてきています。全国的に、徐々に広まっているとみていいでしょう。

さまざまな形があるため、希望が叶えられるか注意が必要

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需要に応えようと、さまざまな管理者が墓地造成に乗り出していますが、そのぶんさまざまな形が出てきました。例えば土中のカロートに骨壺ごと埋葬する樹木葬墓地がありますが、これでは遺骨が自然に還りません。自然回帰をしたいなら、避けて通りたいですね。

自然再生に貢献したいのか、樹木の下で眠るというイメージに憧れるのか、自然に還りたいのか、自分の希望をじっくり見極め、納得できる自然葬墓地を選ぶことが必要です。

まとめ

最近話題の樹木葬について、その歴史や人気の秘密をご紹介しました。遅々たる歩みながらも、樹木葬を掲げる霊園は徐々に増えつつあります。「石のお墓にしますか、樹木のお墓にしますか?」と選択を迫られる時代が、すぐそこに来ているかもしれませんね。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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