和式にする?洋式にする?トイレじゃなくてお墓の話

   


昔ながらの長方形をした和型のお墓と、最近流行している横長な洋型のお墓、どちらを選びますか?それともオリジナルのお墓が良いでしょうか。夫婦や親子で意見が分かれがちなのが、お墓の形です。お墓の形の意味や歴史について学び、選択の際に役立てましょう。

和型はどうして背が高いの?その歴史は?

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昔ながらのお墓といえば、角柱の棹石が土台の上に乗っていて、「○○家之墓」などと刻まれているものですね。どうして揃いも揃って同じ形なのか、不思議に感じたことはないでしょうか。日本は地震列島です。それなのに、わざわざ不安定な縦長の石を土台に載せています。まるで倒せといわんばかりですね。

実は、高くそびえる棹石には重要な意味があります。これは仏塔、つまりお釈迦様のお墓を模したものなのです。とくに日本の仏塔は、屋根をいくつも重ねる中国式を輸入しています。五重の塔が代表的です。

和型墓石には、土台の上の球体が傘をかぶったように見える五輪塔型、地蔵などをそのままかたどった石仏型などがあり、室町時代までは五輪塔型が主流となっていました。現在、和型の大部分を占めるスラッとした角柱の墓石は、江戸時代中期から普及したものといわれています。

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背の高い棹石は仏教にとって大事なモチーフなのです。日本の墓が、伝統的に背の高い棹石を持っているのも頷けますね。そういった意味では、熱心な仏教徒であれば和型のお墓がふさわしいといえるでしょう。

洋型は日本にいつごろ来たの?人気の秘密は?

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洋型の墓石が日本に輸入されたのは第二次世界大戦後といわれています。最近になってぐっと普及したのは、重心が低く地震に強いことが、一つの理由として挙げられます。しかし真に愛される理由は、その自由度の高さにあるでしょう。

洋式だからといって洋風になるとは限らないところが、洋型墓石の魅力です。もちろん、キリスト教の墓地や無宗教のお墓になじむことはいうまでもありません。しかし、日本で伝統的に使われる灰色や黒みがかった石を使い、線香立てや花立てを配すれば、あっという間に和風になってしまうのです。

デザインによって和風にも洋風にも傾き、地震にも強いことから、洋型墓石の人気はじわじわと広がっています。

宗派というより墓地によってある程度は形が決まる

「じゃあ、フレキシブルな洋型にしようか」と即決しそうになりますが、ここに落とし穴があります。墓石を建てようとする墓地が、どんなところかをよく考えてみなければなりません。

墓苑が寺院の敷地内にあり、周りの墓石全てが和型であった場合、洋型の墓石を新設するのは難しいでしょう。ぽつんと一つだけ洋型の墓石があると、悪目立ちしてしまうからです。おそらく石材店からも同じような指摘があることでしょう。

洋型墓石が急激に普及している地域と、あまり振るわない地域がハッキリ分かれているのは、この墓地の特性が関係しているといわれています。とくに墓地が多く新設されている関東の都市部において、洋型墓石が優勢という傾向がみられます。

また、逆のことも考えられます。宗教フリーの墓地に「伝統的な和型墓石を使用したい」と希望しても、叶わないことがあるでしょう。まわりが洋型なのに、一つだけ和型がポツンとあるのは景観を乱すとして、やんわりと断られそうです。震災時の倒壊予防から、あらかじめ背の高い墓を建てることを禁じている霊園も増えてきています。

オリジナル墓石にしたい場合は家族とよく相談して

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洋型でも和型でもなく、オーダーでオリジナルの墓石を手に入れたいという人もいることでしょう。墓地の指定業者である石材店に、それが可能かどうかを聞かなければなりません。しかし、もっと大事なことがあります。それは家族の意向です。

代々引き継がなければならない墓地の場合、個人の好みでオリジナルな墓を建てることはあまりおすすめできません。例えば、自分がギター好きなので、ギター型のお墓にしたとしましょう。後でそのお墓に入らなければならない家族の気持ちは複雑ですよね。

どうしても墓石にオリジナル性を出したい場合は、後継者が不要な自分だけのお墓を購入するか、小さなモチーフを墓と同じ石材で作ってもらうなど工夫しましょう。

まとめ

墓石を和型にするか、洋型にするかは個人の好みだけで決めるべきではありません。信じている宗教・宗派、家族の希望、そして墓地の景観など総合的に判断し、お墓参りに来てくれるみんなが納得できる墓石を考えましょう。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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