終の棲家をどこにしよう お墓の土地の求め方

      2016/05/24

地方から都市部に出てきて、がむしゃらに働き、気が付けば定年……そんな人は、「自分の墓地を探さなければ」と思う時期に来ているのではないでしょうか。ここでは、お墓探しの第一歩である墓地の求め方について解説します。

とにもかくにも宗教・宗派が一番大事

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お墓と葬式はつながっています。どんな墓地を求めようか迷う前に、どんなお葬式をしたいかを考えてみましょう。思い浮かんだお葬式には、お坊さんがいましたか?それとも神主?牧師?無宗教?

宗派が決まれば墓地をどこに求めたらよいかが分かる

仏式葬儀を行いたいなら、墓地を管理する寺院にお葬式を依頼するのが最もスムーズです。もし墓地のある寺院とは違う宗派のお坊さんがお葬式をあげてしまったら大問題です。その墓地には戒名を変えるまで入ることができないといったことになりかねません。

また、神道で、キリスト教式で、といった場合には属する神社や教会があるためご存じと思いますが、公営墓地など宗教フリーの場所を選ばなければならないので注意しましょう。どの墓地がふさわしいかは、宗教者が教えてくれます

無宗教がいい場合はお墓を求める場所に気をつける

無宗教式を望む場合は、うっかりお寺の檀家にならないように注意します。最近ではお寺が管理する墓地の中にも宗教不問のお墓がありますので、気になる墓地がある場合はたずねてみましょう。

気をつけたいのは、「宗教不問」という表現の意味です。寺院によって違います。「墓地を契約するまでの宗教は不問で、契約してからは檀家になってもらう」という意味かもしれません。チラシや看板に「宗教不問」とあるからといって安心せず、詳しく話を聞くことが重要です。

お葬式の形に迷うようなら宗教フリーの公営墓地を

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「まだどんなお葬式をしたいかが分からない」という人は、希望が固まるまでお墓のことを保留にするのが一番です。ただ、そうはいかない事情の人もいることでしょう。その場合は、公営の墓地をおすすめします。公営墓地は、必ず宗教フリーだからです。

ただ、都市部にある一部の公営墓地は抽選がなかなか当たらず、3年越しや5年越しといった人も珍しくありません。公営墓地の募集は、春から6月にかけて一斉に始まりますが、応募するのと同時に民間の霊園にもあたりをつけておいた方が安心でしょう

最近では、宗教フリーの民間霊園が増えてきました。寺院墓地と違い、大きく広報しているところが多いので、パンフレットを取り寄せて比較してみましょう。

お墓参りのためにも、墓地のアクセス環境に注目を

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民間霊園でも、公営墓地でも、最も気をつけるべきポイントがあります。それは、「お墓は入る人だけのものではなく、お参りしてくれる人のためのものでもある」ということです。駅からのアクセスは良いか、駅からタクシーを使ったとしても負担は少ないかを、まずは確認します

「家族は車を持っているから、どこでもお参りに行ける」という考え方は捨てましょう。人は誰でも年老います。運転ができなくなっても、気軽にお参りしてくれるような土地に墓を持つことが理想です。

お墓は買うわけじゃない!「使用料」という考え方を覚えておこう

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さて、いざお墓を手に入れようとするときにも、注意すべき点があります。それは、お墓は買うものではなく、使用料を払うものであるということです。転売できず、お墓以外のものを建てることもできません。

お墓のための費用は「永代使用料」と呼ばれます。その土地を墓地として永遠に使用するための料金という意味です。以前は「永代使用料」を支払ったうえに、年ごとの管理費を払うという形が主流でした。しかし、墓地の後継者が不足してきた現代では、管理費を含めた使用料を一括で支払う方式が目立ってきています。

管理費を一括で支払う場合、「いったい何年分の管理費を支払えばいいの?永遠分?」と考えてしまうかもしれません。たいていの寺院では、33回忌を一つの区切りとして墓を更地にし、お骨は共同の供養塔で供養するという形をとっています。つまり、33年間は個別の墓として管理してもらえるのです。

後継者の要不要から選ぶお墓選びもあり

一定年数の管理費を含めて永代使用料を支払ってしまえば、誰もお墓参りに来てくれなくても、お寺の住職が面倒をみてくれます。子ども夫婦が遠くに住んでいる、独身であるといった人に人気の、永代供養墓(えいたいくようぼ・えいたいくようばか)と呼ばれる形式です。

身内が誰も墓を管理してくれないのは寂しいこと、と思う人も多いでしょう。しかし、お墓参りは不要と割り切ってしまえば、どんな土地に眠っても個人の自由という考えが成り立つでしょう。永代供養墓は、そんな身軽さを持っています。

あくまで家族と相談しなければなりませんが、どうしても「あの土地に眠りたい」という憧れが強い人は、永代供養墓を検討するのが良いでしょう。

まとめ

墓地を検討するには、宗派から始まり、アクセスは良いか、誰が管理してくれるかなど具体的に自分亡き後を思い描くことが重要です。お金を出すのは自分だとしても、実際にお墓を使うのは家族ですから、言いだしづらい話題でも話し合わなければなりません。話すタイミングは、法事、お盆、お彼岸など、供養の話を切り出しやすい環境のときがおすすめです。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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