仏式、キリスト教式、無宗教……葬儀の宗派はどう決める?

      2016/06/01

日本の葬儀は9割が仏式であるといわれています。あとの1割は、神葬祭(神式)、キリスト教式、無宗教、その他の宗教などです。仏教徒であることを認識できる機会が少ない現代、「お葬式は無宗教で」と考える人が多いでしょう。今回は、葬儀の宗派の決め方について解説します。

 

仏式は昔から多くの人が行ってきた葬儀の形

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仏式葬儀の成り立ち

多くの人がお葬式と聞いて頭に思い浮かべるのは、仏式の葬儀ではないでしょうか。今の仏式葬儀の形が成立したのは、江戸時代といわれています。檀家制度が始まり、寺が戸籍を管理する過程で葬儀の面倒もみるというスタイルが生まれました。

実際、江戸時代にはまだまだ庶民がしっかりとした仏式葬儀をとりおこなえるわけではありませんでしたが、明治、大正と全般的に生活が豊かになるにつれ、今の仏式葬儀の形が一般的になったのです。

仏式葬儀に向いているのはこんな人

もしもあなたが生家の何代目かの当主であれば、どこかの寺の檀家になっていることでしょう。先祖が眠っている墓がお寺の管理地内にあるはずです。自分もその墓に入るつもりであれば、そのお寺の住職に葬儀を頼むことになります。

また、あなたが新しくおこした家で、どこのお寺の檀家でもなければ、どんな宗派で葬儀をしても自由です。それでもやはり仏式が落ち着くということであれば、お墓を選ぶときにお寺が管理している墓地を探しましょう。そのお寺の住職が、お葬式にも来てくれます。

もしも公営墓地や宗教フリーの墓地を選び、どこの檀家でもないなら、お葬式を依頼する僧侶を自分で選べます。縁のある僧侶がいなければ、葬儀社に紹介してもらえます。

 

無宗教はこれからトレンドになる新しい葬儀の形

無宗教葬の成り立ち

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高度経済成長期、都市部へ多くの若者が流出したことで、どこの檀家でもない世帯が大幅に増加しました。彼らがシニアになった今、お墓も葬儀の形も自由に選べます。それでもやはり、数年前までは「田舎のお墓に入りたいから」「親族がみな仏式葬儀を希望したから」といった理由で、仏式葬儀を選ぶ人が大半でした。

無宗教葬がなかなか普及しなかった理由は、葬儀社側の経験不足にもあります。長らく仏式葬儀しか経験してこなかったほとんどの葬儀社は、無宗教の葬儀に対応できなかったのです。「仏式以外の葬儀がしたい」という要望があっても、なかなか応えられない時期が続きました。

しかし、最近は無宗教葬を経験する葬儀社もだんだん増えてきています。故人の好きだった曲を流す音楽葬など、具体的なプランを提示することで、客側も安心して無宗教葬を選べるようになりました。これからもさまざまな無宗教葬の形が増えていくことが予想されます。

無宗教葬に向いているのはこんな人

無宗教葬を希望する人のなかには、「とにかく仏式葬儀以外がよい」という人がみうけられます。しかし、それだけだと、内容のない式になってしまいます。仏式のお経に替わる何かがなければ、葬儀の場はもちません。

無宗教葬に向いているのは、お経に替わるものを具体的に考えられる人です。もちろん、音楽葬や故人のDVDを流すなど、葬儀社のプランにのれればひとまずはOKです。加えて、孫が得意な楽器の生演奏があるなど、「らしさ」を加えられれば、無宗教葬は成功します。

また、生家に誰も残っておらず、檀家を抜けたいと考えている人にも無宗教葬が向いています。ひとまずお葬式だけでも菩提寺にと依頼すれば、その流れで故人のお骨は、これまでのお墓に埋葬されてしまうでしょう。それを避けたいなら、無宗教葬を考えましょう。

 

キリスト教式は生前に教会へ通わなければ難しい

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キリスト教のお葬式は、特に信者のためのものという意味あいが強いものです。生前に洗礼を受けるなど、教会にある程度関わっている人でなければ受け付けてもらえない可能性が高いでしょう。神父や牧師によっては、臨終に病院までかけつける人もいます。

信者は、万が一のときにはどのようにすべきか、通っている教会の神父や牧師に相談しておかなければなりません。葬儀は教会でなされるためです。トラブルを避けるため、そこの協会での葬儀に慣れている業者を指定される場合もあります。

 

神葬祭(神式)は神社の氏子が選べる葬儀の形

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神式の葬儀、神葬祭を選ぶのは、神社の氏子となっている人です。明治になるまでは天皇家や神官などにしか認められていなかった形式なので、神葬祭を選ぶ人は神職の親族であった可能性が高いでしょう。

神道の神はケガレを嫌うため、神社では葬儀ができません。自宅や公民館、葬儀社のホールなどで葬儀をすることになります。小さな葬儀社では、神葬祭のための祭壇を持っていないおそれもあります。事前に確認し、対応できる葬儀社を探しておくとよいでしょう。

 

まとめ

「宗教に触れるのはお盆とクリスマスと初もうでくらい」という一般的な日本人なら、仏式か無宗教葬を選ぶのがよいでしょう。菩提寺がなければどちらも自由に選べます。菩提寺があるにもかかわらず無宗教葬をしたいなら、お寺の住職と話をする必要が出てきます。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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