スナップ写真でより「本人らしい」遺影に!遺影を選ぶときの注意点6つ

      2016/07/14

一昔前まで、遺影写真といえば青や灰色の背景に、着物を着せた人物写真を配置したものが主流でした。しかし、最近ではスナップ写真の背景をそのまま活かしたり、着せ替えをせずそのまま切り抜いたりといったことが多くなってきました。数ある写真の中から、遺影にふさわしい一枚を選ぶ際の注意点をお伝えします。

まずは、遺影がどうやって作られるか知っておこう

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遺影は、各葬儀社が独自に加工して作っているわけではありません。地元密着型の葬儀社の中には、地元の写真スタジオなどと提携しているところもありますが、多くはオンラインの遺影制作システム会社にデータを飛ばし、加工してもらっています。

遺族から預かった写真を、デジタル写真はそのまま、紙焼きの場合はスキャンして制作会社へデータを送ります。制作会社は背景を消したり、着せ替えをしたりなど加工を施しデータ化します。葬儀社は送り返してもらった加工済みのデータを、DVDに焼いてモニター画像にしたり、写真用紙にプリントして遺影写真にしたりするのです。

短時間で遺影を作れるよう進化したシステムは便利ですが、葬儀社の社員のほうには、遺影についての知識が育ちにくいという欠点があります。とくに新人は、一枚の写真から遺影になるイメージを膨らませる「眼」を持っていません。仕上がってから「こんなはずじゃなかった」という気分にならないよう、遺族となる側も知識を持つことが大事です。

6つの注意点だけ守ればバッチリ!

スナップ写真の中から遺影を選ぶ場合、その中の一部分、つまり故人の周辺だけが拡大されることになります。写真全体の雰囲気よりも、故人周りの写り方に気を配らなければなりません。このことを意識し、次の6つを守れば、素敵な遺影になることは保証されるでしょう。

1つめ 顔部分が親指のツメよりも大きい写真を選ぶ

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紙焼きの場合、顔の部分が大人の親指のツメよりも小さい写真は遺影にするのが難しいでしょう。引きのばしたときにぼやけすぎて、顔の判別ができなくなってしまいます。げんに、顔の大きさが親指のツメの半分程度しかない写真を遺影に使いたいと申し出たとき、仕上がった遺影がどう見ても「捕らえられた宇宙人」のようになってしまったという失敗談があります。結局、作り直したとのことです。

デジタル写真の場合は、高解像度のカメラで、ピンボケが生じていなければ顔が小さくても使える可能性はあります。しかし、できれば避けたほうが無難です。

なお、アップショットではなく、背景をぐっと活かして人物全体を捉えるような遺影にするのであれば、顔が少々小さくても問題はありません。「どうしてもこの写真がキレイでいいんだけれど、顔が小さい」と悩むなら、少し引き気味の遺影にできないか検討しましょう。

2つめ 胸元から上に障害物が写っていない写真を選ぶ

着せ替えをする場合は、首から上に何もなければ問題ありませんが、着ている服をそのまま活かしたかったら、胸元に注意を向けてみましょう。

障害物として多いのが、人の肩や頭など。お孫さんを抱っこしているようなときは、子どもの腕にも気をつけなければなりません。写真全体では気にならなくても、切り取ったら急に不自然な印象を与えることでしょう。

もちろん、相談次第で障害物を取り去ることはできます。その場合、専用の画像ソフトで障害物を消し去り、その上から色を塗るようにレタッチ(修復)することになります。料金も時間もかかるうえ、服の柄によってはできない可能性もあるので、注意が必要です。無理に花柄を再現しようとして、修復したところだけ絵画のようになってしまったという実例があります。

3つめ ピンが甘い写真は選ばない

デジカメの小さなスクリーンではピントがばっちりあっているように見えても、拡大するとピンの甘さや手ブレが目立ってしまう写真があります。お気に入りのスナップ写真やワンショットを見つけたら、デジカメで確認するだけではなく、パソコンの大きな画面に映してみましょう。意外とピンボケかもしれませんよ。

特に注意したいのがスマートフォンの画像を遺影にしたいときです。そのままプリントすると、スマホで見たときよりもかなりぼやけてしまうことがあるのは、ご存知の向きも多いでしょう。スマホ対応ができていない葬儀社もありますから、必ず事前に確認するのが大事です。

4つめ 背後に家具などが写っている場合は避ける

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背景を塗りつぶすと、どうしても人物が浮いているように見えてしまいます。それが苦手で、なるべく自然な写真がいいと願う人は、背景にも注意して写真を選びましょう。肩越しに、タンスや絵画などが見えていたりしませんか。バックは青空や自然風景などが無難です。ただ、どうしてもという場合は背景をぼかすこともできますから、葬儀社に相談しましょう。

5つめ 本人らしさが出る「年齢」と「表情」に注意

遺影は最近の写真の中から選ぶもの、という思い込みはないでしょうか。実は長寿であればあるほど、10年ほど前の写真のほうがその人らしさが出るといわれています。80歳、90歳ともなると、多くの人は健康を損ない、外出が少なくなります。病気になる前、活発だったころの写真のほうが、参列客から「本人らしい」と思われる度合いが高くなるのです。

また、遺影といえば口元を引き結んだ正面写真を連想しがちですが、そうとばかりもいえません。そのことは、芸能人のお別れ会報道などで放映される遺影からも感じ取れるでしょう。歯を見せた笑顔、少し横向きの顔、話をしているときの顔など、最も本人らしいと思われる表情を選ぶのが一番です。

6つめ 本人も家族も納得のものをセレクトしたい

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生前に遺影を選ぶとき、どうしても本人が1人で選んでしまいがちですが、ぜひ家族の意見も取り入れてください。遺影を実際に使うのは、本人ではなく遺族だからです。祈りの空間にずっと飾っておきたいと思える写真かどうかは、家族でないとわかりません。候補を何点か選んだら、「この中から選んでほしい」と家族に渡し、あとはそのときの決断に任せましょう。

まとめ

スナップ写真から遺影を選ぶなら、顔の大きさや障害物、年齢と表情に注意し、最後は家族の決断にゆだねるのがいいでしょう。「あなたはどれが一番いいの?」と家族に尋ねられたときだけ、「第一候補はこれ。でも、最終的にはあなたたちが選んでね!」と答えておきます。アルバムをひっくり返すのは楽しい作業ですから、家族みんなで思い出話をしながら選ぶのもおすすめです。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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