密葬の流れ~のちに本葬を行うので必要最小限の葬儀に

      2016/06/30

息を引き取った後、葬儀・火葬にいたるまではやるべきことがいくつもあり、喪主は忙殺されます。ここでは、とくに後日お別れ会や偲ぶ会を行う際、まず身内で火葬まですませてしまうようなときの流れを解説します。基本的に仏式を想定しています。

密葬とは

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家族葬、直葬(ちょくそう)、密葬……葬儀の規模をあらわす4つのキーワードでも解説していますが、密葬とは本葬の前に行う仮の葬儀です。家族や親族だけの小ぢんまりとした葬儀のことを密葬であると思っていた人もいることでしょう。確かに、語感のイメージからすれば間違いであるとは言えません。ただ、葬儀の世界では「密葬」と「本葬」はセットであると明確に定義されています。大規模な葬儀を行わなければならない場合、お知らせリストを作るだけでも数日かかり、遺体に影響が出てきてしまいます。このとき、まずは身内で密葬を行うのです。

親族だけの小ぢんまりとした葬儀のことを、最近では「家族葬」と呼んで区別しています。「家族葬の流れ~親しい人だけなら通夜なしもOK!人にも財布にも優しい送り方」で解説していますので、家族葬のことを思い浮かべていた人は、そちらを参照してください。

また、火葬のみで葬儀を行わない送り方を「直葬(ちょくそう)」と呼びます。直葬を思い浮かべてこのページへ来た人は、「直葬(ちょくそう)の流れ~簡素に親しい人だけで火葬を見送る」を参照してください。

1日目~2日目 臨終から安置、打ち合わせまで

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臨終、末期の水

病院や自宅で臨終を迎えると、末期の水をとります。脱脂綿を水で湿らせ、割り箸で挟んで故人の唇を湿らせます。筆を使うときもあります。最近では、儀礼的だと敬遠される風潮もありますが、親族の気持ちを静めるためにも有効な儀式といえるでしょう。

搬送、安置【1時間~2時間】

病院であれば、霊安室にはあまり長居できません。以前から決めていた葬儀社か、病院出入りの葬儀社などに依頼し、安置場所まで搬送をしてもらいます。安置する場所は、自宅が一番落ち着けて安心ではありますが、適さない場合は葬儀社の安置室を借りることになるでしょう。

保冷設備のついた大きな部屋に複数の遺体を安置する、簡易的な祭壇のついた個室に休んでもらうなど、安置の方法は葬儀社によってさまざまです。イメージに食い違いがないよう、搬送の前にどのような安置場所であるかをきちんと確認しておきましょう。

また、安置場所や時間帯にもよりますが、菩提寺が枕経へ訪れる場合があります。安置を終えたら速やかに住職へ連絡し、亡くなったことと安置場所を伝え、指示を仰ぎましょう。

打ち合わせ、見積もり【2時間~3時間】

搬送を行った葬儀社に依頼する場合と、また検討して別の葬儀社にする場合があります。搬送を行った葬儀社が大規模な葬儀に対応していない場合は特に検討が必要です。まずは密葬と本葬という形にしたいことを伝え、大きな葬儀を受け付けられるか尋ねましょう。

大きな葬儀をしたいなら、1級葬祭ディレクターがいる葬儀社であることが、一つの目安です。この資格は、実務5年以上の経験者であること、社葬ができる技能を有していることをあらわしています。厚生労働省認定の技能審査制度です。

ひとまず密葬を搬送してくれた葬儀社に依頼し、本葬はお別れ会のプロがいる葬儀社に依頼するということも可能ですが、できれば一つの葬儀社に依頼をまとめたほうが、のちのち面倒がありません。密葬のダンドリと同時に本葬の日時や場所も押さえてしまった方が、親族らへの知らせが一度ですむからです。

もしも、搬送してくれた葬儀社がどうも頼りないといった場合は、安置をしてもらったまま他の葬儀社を探すことになるでしょう。二重の依頼で若干費用はかさみますが、必要な出費です。

この時点では密葬の打ち合わせをし、本葬の日時や場所を押さえるところまでが理想です。本葬の内容までは、まだ決めなくても構いません。密葬について、通夜、葬儀、火葬の日取りと人数、祭壇や棺、料理や返礼品について検討し、見積もりを出してもらいましょう。

密葬といえども、考え方はさまざまです。親族だけの密葬もあれば、通常の人が一般の葬儀と捉えるような、100人規模のしっかりとした密葬もあるでしょう。火葬だけをすませて密葬とすることも考えられます。親族や菩提寺とよく話し合って決めましょう。

2日目~6日目 知らせ、納棺、通夜

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知らせ

密葬の日程が決まり次第、親族ら関係者に知らせます。本葬の日程をこの時点で発表するかどうかは喪主の判断にゆだねられますが、落ち着いて密葬を営めないおそれがあれば、密葬が終わるまでは発表を控えましょう。その場合、親族らには逝去について他言しないように伝えておかなければなりません。

納棺【30分~1時間】

基本的には、通夜の直前に納棺を行いますが、安置場所の都合や日程により、タイミングはさまざまです。親族みんなで見守る地域と家族だけで行う地域があり、どこまで手をかけるかも違ってきます。

映画「おくりびと」でみられたような、きちんとした着替えまで行う納棺の作法は、葬儀社の担当者ではなく専門の納棺士が行うことがほとんどです。通常の契約では納棺士をつけることになっていないかもしれませんので、確認しましょう。また、オプションとして「湯灌(ゆかん)」を行うこともあります。安置場所にバスタブを持ち込み、最後のお風呂とするのです。

着替えは、最近では故人の好きだった着物などを着せることが多くなってきました。お遍路に行った人であれば、経帷子を持っているでしょう。それが本式の旅装束です。忘れずに着せましょう。

通夜【30分~1時間】

密葬の場合は、僧侶が通夜経を行う必要がないと判断すれば、通夜を省くこともありえます。その際は、納棺のあと集まった面々で食事会を開くとよいでしょう。可能であれば通夜ぶるまいのための会場を借りるか、遺族が休む控室などで、ささやかな食事会としましょう。

3日目~7日目 密葬、火葬

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葬儀(密葬)が先の場合

密葬【40分~1時間】

密葬が先の場合と、火葬が先の場合とがあります。密葬が先の場合は、葬儀場へ30分ほど前までに集合し、時間通りに僧侶を迎えて開式します。密葬と本葬の違いは、故人が棺にいるか、骨壺に収まっているかです。生身の個人との別れは密葬でしかありえませんので、身内からの最後の手紙などを弔辞としましょう。

出棺【30分】

葬儀の後、日程に問題がなければそのまま出棺し、火葬となります。出棺前に棺のふたを開け、最後の別れをします。燃えるものに限りますが、思い出の品を持たせられます。これも、本葬ではできないことですから大事にしましょう。

火葬・精進落とし【1時間半~2時間】

火入れの後に、会食場のある火葬場であれば精進落としとなるケースが多いでしょう。収骨まで終わった後、初七日法要などをしてもらう予定があれば葬儀場へ戻りますが、火葬場で解散となる場合は、喪主が本葬の日時と場所をもう一度アナウンスして終了します。

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火葬が先の場合

出棺【30分】

火葬が葬儀よりも先の地域なら、安置場所から出棺するときが、生身の個人とのお別れのときです。棺のふたを開け、最後のお別れをしましょう。燃えるものなら思い出の品を持たせ、花などを顔の周りに飾ってあげます。

火葬【1時間半】

火葬場では、火入れから1時間程度の待ち時間がありますので、控室で軽食などをとりながら休憩します。収骨が終わったら、バスなどで葬儀場へ向かいます。

密葬【40分~1時間】

時間通りに僧侶を迎えて開式します。密葬ならではの、親族からの最後の手紙などが読まれてもいいでしょう。

精進落とし【2時間程度】

閉式したら会食場で精進落としとなります。最後には、喪主が本葬の日時と場所をアナウンスしましょう。

以上のように、密葬といえども基本的には一般的な葬儀と同じような流れとなります。ただ、遺族が大変になるのは、密葬を行ってからです。本葬のための準備が待っていますので、なるべく遺族に負担のないよう、密葬は簡単にすますという考えもあります。いずれにせよ、生前からしっかり密葬と本葬の方向性について考えておくことが必要でしょう。菩提寺ともよく話し合い、アドバイスを受けましょう。

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奥山晶子(おくやま・しょうこ)
奥山晶子(おくやま・しょうこ)
山形県生まれ。冠婚葬祭互助会で2年間働いた後、出版業に従事。出版社の社員時代に日本初の喪主向け葬儀実用誌『フリースタイルなお別れざっし 葬』を発行(不定期)。以後、葬儀や墓について紹介するライターへ。 著書に「葬式プランナーまどかのお弔いファイル」(文藝春秋)「終活」バイブル 親子で考える葬儀と墓 (中公新書ラクレ)などがある。2013年より2年間、「NPO法人葬送の自由をすすめる会」の理事を務める。現在は葬儀や墓についての知識を足掛かりに、介護、相続、遺品整理など終活関連すべてについて勉強・取材・執筆中。

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