意外と知られていない?相続財産の分け方!

      2016/07/26

相続の際にポイントとなるのは、「だれがどの割合で相続できるのか」ということです。この点は民法で厳密に決められており、「法定相続分」と言います。最低限これだけは押さえておきたい「法定相続分」についての基礎知識をご紹介します。

相続順位と相続分

第一順位の相続人と相続分

意外と知られていない相続財産の分け方01
被相続人(亡くなった人)に子、孫(子がいない場合、以下同じ)がいる時は、この子・孫が第一順位の相続人となります。被相続人の配偶者は、常に子、孫と同じ順位の相続人です。法定相続分は、配偶者が2分の1子、孫が残りの2分の1で、子、孫が複数いる場合には各自の相続分は、2分の1の「相続財産」を等分することになります。

以前は、非嫡出子(法律上婚姻関係にない男女に生まれた子)は、嫡出子(法律上婚姻関係にある男女に生まれた子)の2分の1となっていました。しかし2013年(平成25年)12月5日の民法改正により、非嫡出子も嫡出子も同じ相続分になりました。なお、養子も実子と同じ相続分です。

第二順位の相続人と相続分

意外と知られていない相続財産の分け方02
第一順位の相続人がいない時には、直系尊属と配偶者が相続人になります。直系尊属とは、被相続人の父母、祖父母(父母がいない場合、以下同じ)です。法定相続分は、配偶者が3分の2で、父母、祖父母が残りの3分の1です。直系尊属が複数いる場合には、各自の相続分は、3分の1の「相続財産」を等分することになります。

第三順位の相続人と相続分

意外と知られていない相続財産の分け方03
第一順位の相続人も第二順位の相続人もいない場合、第三順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹)と配偶者が相続人になります。法定相続分は、配偶者が4分の3兄弟姉妹が残りの4分の1です。兄弟姉妹が複数いる場合には、各自の相続分は、4分の1の相続財産」を等分することになります。

以上のように、配偶者は常に相続人ですが、法定相続分の割合は「第一位順位」、「第二位順位」、「第三順位」になるに従い、増えていきます。配偶者の第一順位での相続分は「2分の1(半分)」で、順位が増えるに従い、分母と分子が一つずつ増えていくと考えれば、覚えやすいでしょう。
 

遺留分

遺留分とは?

被相続人が「遺言書」を残していない時には、前述した「法定相続分」で相続財産を分けることになります。しかし、被相続人が「遺産の全てを長男のAに全て相続させる」などの遺言書を残していた場合、どうすればいいでしょうか?もちろん、「遺言書」は被相続人の最後の意思ですから、遺言の内容を尊重しなければなりません。しかし、他の相続人の立場で考えれば、とても納得のいく内容ではありません。

このような相続人の期待を守るために、一定割合を相続人に補償しているのが「遺留分」です。この制度は、被相続人が持っている「財産の自由な処分権」と、遺産はあくまでも相続人全体で受け継ぐものだとする考え方の妥協としてあるものです。

例えば先程の例で、相続されなかった相続人は、相続が開始し、遺言書の内容が分かった時点で、家庭裁判所に「遺留分減殺請求」の申し立てを行うことができます。もちろん、後は家庭裁判所を通して相続人間で、再度遺産の分割を行うことになりますが、どうにか話し合いがついても、お互いに多かれ少なかれ気分的なわだかまりは残るはずです。ですから、遺言書を作成する際には、相続人の間で無用なわだかまりが生じないような内容の「遺言書」にしておく必要があります。

遺留分の範囲

この「遺留分」を持つ相続人は、配偶者、直系卑属(被相続人の子、孫、曾孫など)、直系尊属(被相続人の父母、祖父母、曾祖母など)、直系尊属の代襲者です。直系卑属の代襲者とは、本来なら被相続人の子が相続すべきであるのに、被相続人が亡くなる前に亡くなっていた場合に、その子(つまり被相続人の孫)が子に代わって相続する人のことを言います。また、兄弟姉妹に遺留分はありません。

遺留分の割合は、次のとおりです。

➀ 相続人が直系卑属だけの場合は被相続人の財産の2分の1
➁ 相続人が配偶者だけの場合は被相続人の財産の2分の1
➂ 相続人が直系卑属と配偶者の場合は被相続人の財産の2分の1
➃ 相続人が直系尊属と配偶者の場合は被相続人の財産の2分の1
➄ 相続人が直系尊属だけの場合は被相続人の財産の3分の1

 

➀は、被相続人に配偶者がなく、相続人が子だけだった場合、本来遺産の全てを子どもが相続する権利があるのですが、被相続人が相続人以外の人に「全ての財産を与える」という「遺言書」を残していても、「2分の1」は補償されるということです。

➁は、被相続人に子がなく、相続人が配偶者だけだった場合、本来遺産の全てを配偶者が相続する権利があるのですが、被相続人が相続人以外の人に「全ての財産を与える」という「遺言書」を残していても、「2分の1」は補償されるということです。

➂は、被相続人に配偶者と子がいて、他に相続人がいない場合、本来遺産を全て引き継ぎ、配偶者と子で2分の1ずつ分けるのですが、被相続人が相続人以外の人に「全ての財産を与える」という「遺言書」を残していても、配偶者と子とを合わせて「2分の1」は補償されるということです。従って、その2分の1をさらに2分の1で分ける、つまり配偶者と子がそれぞれ4分の1ずつを分けるということです。

➃は、被相続人に配偶者と父母がいて、他に相続人がいない場合、本来遺産を全て引き継ぎ、配偶者と父母で2分の1ずつ分けるのですが、被相続人が相続人以外の人に「全ての財産を与える」という「遺言書」を残していても、配偶者と父母とを合わせて「2分の1」は補償されるということです。従って、その2分の1をさらに2分の1で分ける、つまり配偶者と父母がそれぞれ4分の1ずつを分けるということです。

➄は、被相続人に配偶者がなく、相続人が父母だけだった場合、本来遺産の全てを父母が相続する権利があるのですが、被相続人が相続人以外の人に「全ての財産を与える」という「遺言書」を残していても、「3分の1」は補償されるということです。

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福岡 學
 熊本県出身。福岡大学法学部法律学科卒。現在、福岡市で行政書士事務所を開業しています。相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、公益法人などが専門分野です。また過去に、福岡県内の大手学習塾で20年間国語・英語の教科指導を担当し、国語科副主任、教務主任などを歴任しました。身近な法律問題、教育問題について、専門知識、過去の経歴を活かし、丁寧で分かりやすく説明いたします。

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