この方法で「相続トラブル」は避けられる

      2016/11/22

ひとたび「相続トラブル」が起こったら、解決するまでには多くのハードルが待っていま
す。相続財産の分割方法について、相続人の誰かが不満を持っているのであれば、新たな分
割方法を提示して、再度相続人全員が集まり、協議(話し合い)をしなければなりません。

もちろん、時間や費用もかかりますが、それ以上に相続人の間で人間不信、疑心暗鬼の気持
ちが生まれ、その後の人間関係にも大きな影響を与えます。「相続トラブル」を避けるには
どうしたらいいでのしょうか。「財産編」「相続人編」に分けてご紹介します。

「相続トラブル」を回避するには?(財産編)

財産目録の作成

 
最近流行の「終活」にならって、事前に自ら「財産目録」を作成しておきましょう。こうしておくことで、自分の相続財産を把握することができますし、何よりも後で述べる「遺言書」を作成する時の必要不可欠な要素となります。

 財産には大きく分けて、不動産と動産に分かれます。不動産は、土地や建物です。動産はそれ以外ということになります。不動産も金融機関の預貯金はもちろん、株式やゴルフ会員権、自動車やバイク、あるいは骨董品など、様々なものがあります。被相続人だけしか把握していない財産がある場合で、「財産目録」が作成されていないと、遺産分割協議の際に、漏れてしまう恐れがあります。財産を残す者の務めとして、是非「財産目録」を作っておきましょう。
極秘資料

通帳・証書を整理する

自分の相続財産のリストアップが終わったら、必要な書類をひとまとめにしておきましょう。1円でも預金がある場合には、その銀行支店の通帳を保存しておきます。但し、入金、出金用の通帳など、通常使う通帳だけを残して、普段使っていない通帳は解約をするなどして、出来るだけ使っている銀行口座を少なくしておくことが大切です。

不動産がある場合には、「権利証(登記済証)」を確実に保存しておきます。但し、古い権利証では、記載内容が読み取りにくい場合もありますから、管轄の法務局で「登記事項証明書」を取り寄せておきましょう。

但し、不動産登記法改正で2005年(平成17年)3月7日から「登記済証」はオンライン庁による「登記識別情報」(12桁の符号)に切り替わっていますので、「登記済証」がない場合でも、「登記識別情報」が分かれば問題ありません。また、株式やゴルフの会員権などの有価証券がある場合には、「財産目録」と照らし合わせた上で、「証書」をひとまとめにしておきましょう。

現金を準備する

「相続トラブル」の多くは、相続財産の分割に起因するものです。特に、ほとんど現金がなく、不動産だけがある場合には分割しにくいため、トラブルが発生する率が高くなります。また、相続が発生して(被相続人が亡くなって)基本的に10ヶ月以内に、相続税の申告を行い、納めなければなりません。

相続税は、原則的に現金での一括払いですから、手元に現金を残しておく必要があります。また、葬儀費用なども亡くなった後、すぐに必要になります。従って、相続財産の中で現金化できるものがあれば、現金に換えておく方が後々のトラブルを回避できるということになります。

「相続トラブル」を回避するには?(相続人編)

相続人を調査しておく

  
法定相続人は、民法で規定されている相続人のことですが、できれば事前にきちんと調査しておきたいものです。そうすることで、相続が開始前に相続人が把握でき、トラブルが回避できます。

相続人の中には、「相続放棄」をする人がいるかもしれませんから、その時になって慌てて、次に相続権が移る人を調査していたら、「相続税」の期限である10ヶ月はすぐにきてしまいます。ですから、早い段階で相続人になる可能性がある人を事前に把握しておくことは、とても重要です。

具体的には、被相続人に当たる人の「出生から現在まで」の「戸籍謄本」を全て取り寄せます。生まれてから一度も「本籍」が変わっていない人なら、それほど難しい作業ではありませんが、結婚をすれば親の「戸籍」から離れて新たに「戸籍」を作りことになりますから、「戸籍謄本」を一つ取ればそれで済むという場合は、かなり少ないケースです。

また離婚歴がある場合には、戸籍を移動することになりますから、それもたどって「戸籍謄本」をとらなければなりますから、意外と大変な作業になります。

相続人になる可能性の人が、ある程度把握できたら、「家系図」を作成しておきましょう。出来れば、名前の横に「生年月日」を記載しておけば、実際の手続きの際に重宝します。完成した家系図と取り寄せた全ての「戸籍謄本」をまとめて保存しておきましょう。
makimono

遺言書を作成する

「財産目録」が完成し、相続人が把握出来たら、「遺言書」を作成しましょう。遺言書には、主に自分で作る「自筆遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」があります。自筆遺言は、費用はほとんどかかりませんが、法律で決められた要件が全て揃っていないと、無効になってしまい、せっかく作った遺言書がもとで、かえってトラブルが発生する可能性もあります。

公正証書遺言は、遺言者が公証役場に行って、公証人に遺言内容を口述し、その口述した内容をもとに公証人が作成する遺言です。作成された遺言書の原本は公証役場で保管され、遺言者には正本が渡されます。この遺言書は、公証人の指示のもとに作成しますから、自筆遺言とは違って内容や様式の不備は生じませんが、ある程度の費用が必要です。

事前に遺言書を作成しておくことで、遺産分割協議の際に相続人間でのトラブルは極力回避することができます。

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福岡 學
 熊本県出身。福岡大学法学部法律学科卒。現在、福岡市で行政書士事務所を開業しています。相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、公益法人などが専門分野です。また過去に、福岡県内の大手学習塾で20年間国語・英語の教科指導を担当し、国語科副主任、教務主任などを歴任しました。身近な法律問題、教育問題について、専門知識、過去の経歴を活かし、丁寧で分かりやすく説明いたします。

 - 相続のいろは