この方法が「相続税対策」になる!

      2016/11/22

「相続税対策」と言えば、一部のお金持ちに限った話だと思われがちですが、実はそうではありません。平成27年1月1日に相続税に関する法律が改正され、「基礎控除額(相続税がかからない金額)」が引き下げられたため、相続税の対象となる事例が確実に増加しているのです。そこで、すぐに始められる「相続税対策」をご紹介します。

今すぐ始められる相続税対策とは?(財産編)

非課税財産の購入

相続財産と聞くと、被相続人(亡くなった人)が残した財産の全てだと思われている人がいるかもしれませんが、実は相続税法で「非課税財産(相続財産には入れないもの)」として規定されているものもあるのです。例えば、墓地や仏壇、墓所、祭具などは、その性質上非課税財産として扱われています。

もし、被相続人が現金5,000万円を残してなくなったのであれば、通常そのまま5,000万円は相続財産に加算されます。しかし、生前にその5,000万円で墓地と仏壇を買っておけば、相続財産からその5,000万円が減少することになります。従って、被相続人の墓地や仏壇などは、生前に準備しておく方が、相続税対策になるのです。

但し、いくら仏壇や仏具などが非課税財産になると言っても、純金の仏像などを購入した場合には、換金性があるために投資目的ではないかとみなされ、相続税の課税対象となる場合もありますから、注意が必要です。

家屋の修繕

相続では、建物の評価額「固定資産税評価額×1.0」で計算することになっています。この「固定資産税評価額」は、建築当初にかかった建築費の50~70%です。そして、年数が経過すれば、減価償却費分が減額されます。

この制度を活かして、生前に老朽化した家屋を修繕したり、改築したりすることも、相続税対策になります。例えば、修繕費や改築費に500万円にかかれば、その分相続財産が減ることになります。一方で、家屋は価値が増加することになりますが、固定資産税評価額が増加することはないので、相続税評価額は増加しません。つまり、家屋の価値は上がるのに、相続財産は下がるということになるのです。

ただ、大規模な修繕や改築を行ったことによって、家屋の耐用年数が延長されるような家屋の価格が著しく増加したとみなされた場合には、市区町村の調査員が家屋の状態を確認し、評価替えを行うこともあります。そうなると、固定資産税評価額が上がる可能性があります。この点は、注意が必要です。
自宅を修繕

今すぐ始められる相続税対策とは?(不動産編)

不動産の特典を利用する

被相続人が残す相続財産は、主に「預貯金」、「有価証券(株式など)」、「不動産」の3つです。この3種類の財産が、相続財産としてどのように評価されるのか見てみましょう。

まず預貯金は、「預貯金の預け入れ高+既経過利子−源泉徴収税額」です。次に株式は、上場企業の場合、

①相続時の終値
②相続時の月の終値の平均額
③相続時の月の前月の終値の平均額
④相続時の月の前々月の終値の平均額

の中から、もっとも低い金額となります。最後に不動産(土地)は、「路線価方式または倍率方式で算定した評価額」です。

預貯金と株式は、実際の取引額に近い金額が評価額となります。しかし、不動産(土地)の評価で用いられる路線価は、一般的に「公示価格」の「80%」になるように定められています。このような点から、資産としては預貯金や株式を持っておくよりも、不動産を持っていた方が、「相続税対策」になることがわかります。ただ不動産(土地)は、換金に時間がかかるというデメリットがありますので、その点は注意しなければなりません。

土地の実測・整地

上で述べたように、土地の評価額は路線価方式など、一定の計算方法で計算します。計算方法は、一般的に実測面積で、不整形な土地などは評価減の対象になりますが、仮に土地に樹木があったり、あるいは土地が緩やかな傾斜地であったりしても、評価額は変わりません。

もし相続した後に、相続税を納税するために土地を売らなければならなくなった場合、土地の実測や樹木の伐採土地の整地や造成などを行って、土地を販売しやすいようにしなければいけませんが、その際にはある程度の費用が必要になってきます。

そこで、それらの実測・整地などを生前に行っておく方法も、相続税対策の一つになります。これらにかかる費用を生前に使うことで、相続財産を減らすことができますし、実測・整地などの作業を行って土地を処分しやすくしても、土地の価格自体が増加することにはなりません。つまり、相続財産は減っても、土地の利用価値は増加することになるのです。
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更地の準備

相続税の申告は、相続の開始があったことをした日の翌日から、10ヶ月以内と決められています。しかも納税は、原則として現金で一括で支払わなければなりません。もし、相続税を納税するための現金が手元になかった場合には、特例として税金を分割で支払う「延納」や相続財産をそのまま納める「物納」という方法があります。

ただ、延納する場合には年利4%超の利子税が付きますから、延納期間中は経済的・精神的に負担がかかることになります。そこで、預貯金が少ない時には、すぐに相続財産の中で「現金化」」できるものを生前から準備しておく必要があります。

土地が相続財産の占める割合が高いのであれば、その中に更地を準備しておくのも一つに方法です。更地であれば、すぐに処分しやすいですし、物納にも活用できます。

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福岡 學
 熊本県出身。福岡大学法学部法律学科卒。現在、福岡市で行政書士事務所を開業しています。相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、公益法人などが専門分野です。また過去に、福岡県内の大手学習塾で20年間国語・英語の教科指導を担当し、国語科副主任、教務主任などを歴任しました。身近な法律問題、教育問題について、専門知識、過去の経歴を活かし、丁寧で分かりやすく説明いたします。

 - 相続のいろは